首页 >> 日本文学名作系列:心(日文版) >> 日本文学名作系列:心(日文版)全文阅读(目录)
大家在看 嫡嫁千金 遮天 遮天 大奉打更人 媚者无疆 轮回乐园 过野 茕茕 斗破苍穹 温度 
日本文学名作系列:心(日文版) 夏目漱石 -  日本文学名作系列:心(日文版)全文阅读 -  日本文学名作系列:心(日文版)txt下载 -  日本文学名作系列:心(日文版)最新章节

第七章

上一章 目录 下一章 用户书架

第七章

父は明らかに自分の病気を恐れていた。しかし医者の来るたびに蒼蠅うるさい質問を掛けて相手を困らす質たちでもなかった。医者の方でもまた遠慮して何ともいわなかった。

父は死後の事を考えているらしかった。少なくとも自分がいなくなった後あとのわが家いえを想像して見るらしかった。

「小供こどもに学問をさせるのも、好よし悪あしだね。せっかく修業をさせると、その小供は決して宅うちへ帰って来ない。これじゃ手もなく親子を隔離するために学問させるようなものだ」

学問をした結果兄は今遠国えんごくにいた。教育を受けた因果で、私わたくしはまた東京に住む覚悟を固くした。こういう子を育てた父の愚痴ぐちはもとより不合理ではなかった。永年住み古した田舎家いなかやの中に、たった一人取り残されそうな母を描えがき出す父の想像はもとより淋さびしいに違いなかった。

わが家いえは動かす事のできないものと父は信じ切っていた。その中に住む母もまた命のある間は、動かす事のできないものと信じていた。自分が死んだ後あと、この孤独な母を、たった一人伽藍堂がらんどうのわが家に取り残すのもまた甚はなはだしい不安であった。それだのに、東京で好いい地位を求めろといって、私を強しいたがる父の頭には矛盾があった。私はその矛盾をおかしく思ったと同時に、そのお蔭かげでまた東京へ出られるのを喜んだ。

私は父や母の手前、この地位をできるだけの努力で求めつつあるごとくに装おわなくてはならなかった。私は先生に手紙を書いて、家の事情を精くわしく述べた。もし自分の力でできる事があったら何でもするから周旋してくれと頼んだ。私は先生が私の依頼に取り合うまいと思いながらこの手紙を書いた。また取り合うつもりでも、世間の狭い先生としてはどうする事もできまいと思いながらこの手紙を書いた。しかし私は先生からこの手紙に対する返事がきっと来るだろうと思って書いた。

私はそれを封じて出す前に母に向かっていった。

「先生に手紙を書きましたよ。あなたのおっしゃった通り。ちょっと読んでご覧なさい」

母は私の想像したごとくそれを読まなかった。

「そうかい、それじゃ早くお出し。そんな事は他ひとが気を付けないでも、自分で早くやるものだよ」

母は私をまだ子供のように思っていた。私も実際子供のような感じがした。

「しかし手紙じゃ用は足りませんよ。どうせ、九月にでもなって、私が東京へ出てからでなくっちゃ」

「そりゃそうかも知れないけれども、またひょっとして、どんな好いい口がないとも限らないんだから、早く頼んでおくに越した事はないよ」

「ええ。とにかく返事は来るに極きまってますから、そうしたらまたお話ししましょう」

私はこんな事に掛けて几帳面きちょうめんな先生を信じていた。私は先生の返事の来るのを心待ちに待った。けれども私の予期はついに外はずれた。先生からは一週間経たっても何の音信たよりもなかった。

「大方おおかたどこかへ避暑にでも行っているんでしょう」

私は母に向かって言訳いいわけらしい言葉を使わなければならなかった。そうしてその言葉は母に対する言訳ばかりでなく、自分の心に対する言訳でもあった。私は強しいても何かの事情を仮定して先生の態度を弁護しなければ不安になった。

私は時々父の病気を忘れた。いっそ早く東京へ出てしまおうかと思ったりした。その父自身もおのれの病気を忘れる事があった。未来を心配しながら、未来に対する所置は一向取らなかった。私はついに先生の忠告通り財産分配の事を父にいい出す機会を得ずに過ぎた。

喜欢日本文学名作系列:心(日文版)请大家收藏:(m.75zw.com)日本文学名作系列:心(日文版)起舞中文更新速度全网最快。

上一章 目录 下一章 存书签
你可能会喜欢 遮天 轮回乐园 吞噬星空 全职法师 大奉打更人 我喜欢你的信息素 斗破苍穹 寂寞少妇的诱惑 万族之劫 诡秘之主 洗铅华 神医弃女 你是我的荣耀 偷偷藏不住 完美世界